兄が社会人になった。彼には自分の実力を遺憾なく発揮してほしいと思う。

先日、兄が社会人になった。

 

 

歴史的事件である。

 

 

私を溺愛する究極のブラザーコンプレックスの欠点を持つ兄が、先日、社会人になったのである。

 

ブラザーコンプレックス- 男兄弟に対して強い愛着・執着を持つ状態。

ブラザーコンプレックス - Wikipedia

 

まったくもって似合わないスーツを着ているにも関わらず、まったくもって新入社員のあどけなさを感じさせない。なんなら課長のような雰囲気すら醸し出してくる彼は、もはや人間ではない。

 

 

新入課長。略してブラコン。

それこそが彼に最もふさわしい肩書きであった。

 

 

前任の課長も、これにはびっくり仰天である。

 

いきなり社に入ってきた新参者のブラザーコンプレックスが、たまたま課長の風格を感じさせるツワモノであったために、突如としてその役職を譲渡せざるを得なくなった。

 

 

すまない、前任の課長さん。

 

 

ここはおとなしく引き下がってもらうしか手はないだろう。

 

弟の私ですらも、彼の実力は認めざるを得ない。

 

 

私の携帯を瞬時に忍び見ては、瞬時にしてその閲覧ページの内容を読み取り、瞬時にしてその時の私の心情を読み取って、瞬時にして私の今後の行動を予測する。その類稀なる動体視力もさることながら、鋭敏な洞察力に加えて爆速の読解力。

 

末恐ろしい。

 

 

さらに、

 

 

私の高校の体操ズボンを勝手に着用しては、それを勝手にパジャマ代わりとして使用し、「キモイ」という私からの冷徹な言葉を何度浴びせられても全く動じない。なんならむしろ喜んでいるような気もする。

 

強靭な忍耐力を兼ね備えながらも、苦しみをバネに今後も飛躍していこうという未来志向の持ち主でもある。

 

 

さらにさらに、

 

 

私のiPodのパスワードを解読し、ひっそりと私のフォトアルバムを盗み見ていたこともある。

 

おそらく私がパスワードを入力する際の手の動きからそれは解読され、パスワードだけに飽き足らず、そのフォト数とインストールされてあるアプリ、そして私のiPod使用時間から、一か月のデータ使用量および内部ストレージの空き容量を計算していることだろう。

 

 圧倒的推理能力と、千里眼のような先見性。

 

 

前任の課長さん、あなたに彼を超えられるだろうか。

 

 

 

断言する。

 

 

 

 

 

超えられない。

 

 

 

彼は非常に有能です。

 

ええ、それはもうあなたよりかは完全に彼の方が課長として一枚うわてだ。課長どころか社長になってしかるべきだと、私は睨んでいます。

 

 十年、いや、百年に一人の逸材。

 

彼は間違いなく、御社の未来を明るく照らす人材となりうるでしょう。

 

 

 

 

ただひとつ、彼の欠点を挙げるとするならば

 

 

 

 

 

 

それは彼が、ブラコンであったということです。